介護業務支援ソフトのクラウド化で
業界の悩みである「時間」と
「人手不足」を解消!

株式会社ささや木(富山県下新川郡入善町)
IT導入補助金2021  C類型-1

クラウド型の介護業務支援ソフトを導入し、テレワークが可能な環境を整備することで
柔軟な働き方を実現。業務の停滞や人手不足を解消し、地域社会に貢献。

<抱えていたお悩み>
地域社会に寄与する活動を止めることなく
社内業務の負荷を減らすには?


株式会社ささや木は、「人と人との優しいつながり」を理念に、高齢者向け介護事業(看護小規模多機能型居宅介護、地域密着型デイサービス、訪問介護)及びサービス付き高齢者向け住宅を運営しています。10年前に関連法人の特定非営利活動法人木ここちを設立し、グループホーム(認知症対応型共同生活介護)の運営、居宅介護支援及び認知症介護の啓蒙普及事業を行ってきましたが、介護が必要になったお年寄りが、これまでの暮らしを継続しながらQOL*を高めていけるような福祉のスタイルを目指して、2015年に当社を設立し、在宅福祉複合施設『ささや木』を開業しました。

福祉一筋に歩んできた当社代表は、プレイングマネジャーとしてケアマネジャー業務をこなしつつ、同時に認知症介護の専門家として県内外の講演や研修に講師として招かれるなど、非常に多忙な日々を送っています。年々、ケアプラン作成や介護給付費の請求といった社内業務を行う時間の捻出が難しくなり、夜間や休日に出社して業務をこなす状況が続いていました。地域社会に求められる活動を止めることなく業務の負荷を減らすためには、「場所を選ばず、どこでも業務ができる」環境づくりが急務でした。

 *クオリティ・オブ・ライフ(Quality of Life)の略称で、「生活の質」や「人生の質」という意味。「心身ともに健康で輝くような状態」を指す。

<導入したITツール>
『ほのぼのNEXT』OL NEXT
連携使用権パック
(看護小規模連携型④)


現在、多くの介護施設でケア記録や請求業務等をサポートする介護業務支援ソフトが利用されており、介護の仕事に欠かせないものになっています。当社でも、『ささや木』開業時に介護業務支援ソフト『ほのぼのNEXT』をP2P*で導入し、これまで活用してきましたが、今回、システム更新のタイミングでIT導入補助金を活用し、クラウド型の『ほのぼのNEXT』を導入することで「場所を選ばず、どこでも業務ができる」という課題を解決しました。

クラウド型の導入は数年前から検討していましたが、価格が高く、経営上厳しいと判断して見送ってきた経緯があります。システム更新にあたり、IT導入支援事業者(株式会社トヤマデータセンター)に相談したところ、クラウド型の導入もIT導入補助金の補助対象になるとアドバイスをもらい、導入を決断しました。中小規模の介護施設にとっては、新たなシステムの導入はコスト面の負担が大きく、IT導入補助金がなければ導入できない事業者もいるのではないかと思います。

「テレワークの実施」というIT導入の目的が明確にありましたので、補助金の申請はスムーズに進めることができました。クラウド化に際して一番大変だったのは、複数台のPCに保存していた業務データの統合作業です。当事業所にはシステムエンジニアの経歴を持つケアマネジャーが在籍しており、彼がDX推進担当者としてIT導入支援事業者のサポートを得ながら進めたことで、トラブルなくデータ移行することができました。

 *「Peer-to-Peer(ピアツーピア)」の略称。不特定多数の端末(PCやスマホ等)がサーバを介さずに端末同士で直接データファイルを共有することができる通信技術、またはソフトウェアのことを指す。

<効果>
テレワークで柔軟な働き方を実現!
有事の際のデータ保全も安心

ITツールのクラウド化によりテレワークが可能となり、ノートPC があれば、出先や車の中でも社内業務を滞りなく行えるようになりました。代表に他県で開催される認知症研修での講演依頼があった際、以前は介護給付費の請求時期に重なれば、登壇することが困難でしたが、クラウド化後はテレワークにより現地で請求業務を行うことができるため、何ら問題なく、登壇することができました。

従業員採用の際には、家庭の事情から短時間勤務を希望されたことがあり、これまでであれば採用を見送らざるをえないところでしたが、テレワーク可能な環境を活かし、勤務時間の一部を在宅勤務してもらうという形で採用することができました。従業員は「家でも仕事ができるという安心感がなければ働けなかった」と話しており、柔軟な働き方を実現できたことが人材の確保につながりました。また、もし新型コロナウイルス感染症の濃厚接触者となった場合でも、在宅勤務ができるようになり、柔軟な働き方が可能となったことによる安心感で満足度が高まり、人材の定着にもつながっています。

さらに、データがクラウド上に保存されることで、万が一、災害などによりPCに不具合が発生したとしても、業務を継続することができるようになったことも大きなメリットです。

<今後の展望>
柔軟に働ける職場環境で人材を育成し、
生きがいを支援する新たな介護サービスを提供

ITツールのクラウド化により可能となったテレワークには思いがけない効果もあり、気分がリフレッシュして仕事がはかどるようになりました。当社には介護する側も生きがいを持って人生を楽しんでほしいという思いがあり、ITを活用して、より自由で柔軟な働き方を実現したいと考えています。

当社設立から7年が経ち、事業は少しずつ拡大していますが、業務環境の整備はまだ遅れていると感じます。クラウド化を機に『ささや木』と『木ここち』の連携を強化し、さらなる効率化を図って本来のケア業務に集中できる環境を整備したいと思っています。まずは直近の課題であるネットワーク環境のセキュリティ対策を強化し、より安心できる環境で人材の確保・育成に取り組んでいきます。

これからの社会には、もっと在宅介護に対応する施設が求められていると感じています。今後も成長を重ね、一人ひとりの生き方・生きがいを支援する新たな介護サービスの選択肢を地域住民に提供し続けていくことが目標です。

<IT化を進めようとする皆さまに一言>
人と人との温かいやりとりを残しながら、
誰も取り残さないようなIT化の推進を

福祉に限らず、どのような仕事でも「人と人とのつながり」は大切です。事業が大きくなると人と人とのつながりが希薄になってきますから、IT導入補助金等の公的支援を活用して業務の効率化を図り、社内のコミュニケーションに十分な時間を取れるような仕組みづくりが必要ではないでしょうか。

私たちはIT化が解決策のすべてではないとも思っています。当事業所ではさまざまな申請にあえて紙の書類を残し、人と人とのちょっとしたやりとりを失くさないようにしています。ITが苦手な人もいますので、みんながシステムの操作をこなせるよう、一気にではなく少しずつIT化を進めていくことも大事ではないかと思います。

企業概要

会社名 株式会社ささや木
URL

https://www.sasayaki.org

住所

富山県下新川郡入善町 青島401番地1

従業員数 35名(2022年9月現在)
事業内容

介護業

従業員数 35名(2022年9月現在)