運転日報管理のクラウド導入で
業務を飛躍的に効率化し、
環境特化型トータルソリューションを目指す

株式会社ケイ・システム(神奈川県大和市)

IT導入補助金2021 A類型

廃棄物収集運搬車の運転日報データをクラウド化し、
生産性向上を図ることによって、環境特化型ソリューションのさらなる展開を狙う。

<抱えていたお悩み>
運転日報管理業務の効率化&ペーパーレス化が喫緊の課題

株式会社ケイ・システムは、神奈川県大和市で環境に特化したベンチャー企業として廃棄物収集のトータルソリューションを提供しています。2022年5月に、IoTを活用して開発した産業廃棄物自動計量システムで「中小企業SDGs ACTION!AWARDS」DX特別賞を受賞しました。

SDGs経営向けのシステム開発・販売事業を手掛ける一方、数年前より取引先から廃棄物収集のご要望が多く聞かれるようになり、収集運搬の免許を取得して実際に産業廃棄物を収集する受託業務も手掛けるようになりました。

システム開発・販売が専門分野であるとはいえ、当社が従来提供してきたサービスは自動計量した廃棄物のデータ管理であって、実際の取集に関わる管理業務についてははじめての経験でした。したがって、運搬車の収集情報はすべて手書きで日報に記入し、帰社後に改めて、日報を1枚1枚見ながらオンプレミス型の管理システムに延べ約9時間をかけて入力し直す作業が発生していたのです。

作業は煩雑で効率が低く、ペーパーレス化できていないことも悩みでした。またシステムがオンプレミス型であることに加えて事務作業を紙ベースで管理していることもあり、管理部門社員のテレワークができない状況で、BCP策定上でも喫緊の課題となっていました。

<導入したITツール>
データ管理業務を飛躍的に効率化する「ルート配車システム」を導入

そこで、生産性の効率化を図るべくIT導入補助金を活用して導入したのが、ウエスト・クラウド・ジャパン(以下WCJ)が提供する運転日報をクラウド管理できる「ルート配車システム」でした。

WCJさんは従来から取引のある会社で、産業廃棄物業界に明るいことはよく知っていました。もちろん他社のソフトウェアも検討しましたが、クラウド型で入力画面の操作性や機能性が当社の業務にマッチしていたこと、そして環境系のクラウドシステム開発に特化しているという点も決め手となり、WCJのシステムを選定しました。

実は当社が手掛ける事業のうちシステム開発・販売事業においては、これまで多くの企業のIT導入をサポートしてきた経験はありますが、年々ハードルが高くなっており、自社の申請はなかなか大変でした。申請時にはできるだけ空白欄ができないよう、「導入後の期待効果」などフリー記載の欄もしっかり書き込むように工夫して申請し、導入に至りました。

ITツール導入にあたっては、WCJさんのアドバイスなどサポートもありましたが、ソフトウェアをインストールしたからといって、当然すぐに稼働するわけではありません。当社のオペレーションに合わせて設定したりマスターデータを事前登録したりする作業は2カ月ほどかかりました。従来の手書き伝票による作業と同時並行でしたのでとても大変でしたが、その後実際に移行する際にはとてもスムーズにスタートすることができました。

<効果>
作業時間は9時間から3分の1に圧縮!
ペーパーレス化にも成功

従来のシステムは紙ベースの運転日報の手入力で管理が煩雑な上、さまざまな事務作業の工程ごとにそれぞれ別のソフトウエアを使って入力作業を行っていました。しかし、新たに導入したシステムでは、一連の流れをワンストップで行うことができる管理体制を実現することができたのです。

これまでは1画面に1種類の廃棄物を登録していたところ、新システムでは1画面のさらに1行に12種類の廃棄物の収集量を登録できるようになったため、飛躍的に作業効率が上がりました。時間にすると延べ約9時間かかっていた作業が2、3時間で完了できるほどで、導入後は3人で行っていた業務を1人で対応できています。

また、クラウド管理が可能になったことによって、紙ベースだった日報管理をオンライン化できたと同時に社内間でデジタルデータの共有が可能となり、管理部門職員のテレワーク導入を実現。その結果どこにいても処理ができる上、対応スピードも速くなり作業時間は月間約120時間短縮し、残業時間の削減にも成功しました。喫緊の課題であったBCP上の感染症対策を強化することもできたのです。

こうして生産性が向上したことで、スタッフを増員することができ、本来の基盤であるシステム開発・販売事業に本腰を入れることができるようになったのは、大きな成果ですね。

工数を削減して生まれた時間を他のことに費やせるという好循環が生まれた結果、今期の売上は前年比1.7倍を達成することができたのです。賞与も前年比で1.3倍となり、従業員にもその成果を還元することができました。

<今後の展望>
システム開発と廃棄物収集の2本柱で、3年後、売上1億円を目指す

IT化という点では、まだまだ課題が多いのですが、バックオフィス業務やさまざまなデータの連携などを少しずつ進めていきたいですね。クラウド導入も選択肢としてもっと効率化できれば、本来の事業にもさらに力を注いでいけるのではないかと思います。

今後のビジョンとしては、システム開発・販売事業と廃棄物収集事業の2本柱で、3年後には売上1億円を目指しています。廃棄物収集という現場での経験を強みに、環境に特化したトータルソリューションの提供を行いながら目まぐるしい制度変更にも対応していきたいと考えています。

<IT化を進めようとする皆さまに一言>
IT導入補助金は、申請プロセスそのものがネットで完結する効率的な制度

日本の9割以上を占めるといわれる中小企業は、バックオフィス業務になかなかコストがかけられないという課題を抱えています。こうした背景の中、IT導入補助金の活用は中小企業にとってメリットしか見受けられず、申請しない理由はありません。私どもは支援事業者としてもさまざまな補助金を知っていますが、IT導入補助金は申請プロセスそのものがネットで完結できるので、まさにITを駆使した大変効率的な制度だと感じています。

ITツールの導入に際しては、従来の業務プロセスの変更や導入コストのことなど検討事案も多いと思いますが、コスト面のサポートがあるのは非常に心強いですよね。アナログで非効率な管理から少しでも脱却したいとご検討されている企業様には、ぜひ活用をおすすめします。

企業概要

会社名 株式会社ケイ・システム
URL

https//ksystem.kanagawa.jp/

住所 神奈川県大和市下鶴間2丁目12番33 707号
従業員数 3名
事業内容 一般廃棄物、産業廃棄物処理事業に関わるソフトウェアの代理販売、保守並びにこれらのコンサルティング
従業員数 3名