販売管理業務のDX化で出荷対応キャパシティを拡げ、売上に貢献!
さらなる販路拡大を狙う

株式会社宝寿園(東京都新宿区)
IT導入補助金2021 -B類型-

通販管理業務の受注処理から伝票発行、販売管理までトータルでDX化する  
ITツール導入で、業務効率化と売上アップを実現し、経営戦略を強化。

<抱えていたお悩み>
約5万件分の販売管理業務を自社システムで行うことに限界

東京都新宿区で食品製造・販売業と飲食業を営む株式会社宝寿園では、「野草十八茶 宝寿茶」をはじめとする自然健康食品を手掛けています。野草十八種類をオリジナルブレンドした宝寿茶は、創業昭和49年の日本料理店「新宿あぐら屋」を営む中で、お料理の締めにご提供するオリジナルのお茶をつくろうと、3年以上の試行錯誤の末に完成した自社開発のお茶。常連様の口コミから広まり、現在はテレビショッピングや雑誌通販、自社通販サイトなどオンライン通販で、20年以上にわたって日本各地へお届けしているロングセラー商品です。

卸売業では、テレビ通販会社や飲食店・宿泊施設など数百社へ、そして小売業では、一般ユーザーを対象に新聞広告や自社通販サイトで累計約5万件の顧客様へ販売しており、自社開発の管理システムを運用して受注処理をはじめ伝票発行や販売管理を行ってきました。

自社管理システムは比較的自由にカスタマイズできるため、細かな要望へ柔軟に対応できるものの、事業が拡大するにつれ課題も浮き彫りになってきました。管理件数が増え、データ容量も増加するに従ってシステムの動作が遅くなり、電話での注文時にお客様をお待たせしてしまうなどのサービス低下が発生したのです。また、売上データをはじめ経理は手書き伝票やエクセルへの手入力で対応しており時間がかかっていることや自社管理システムと経理が連動していないことも大きな課題で、自社管理システムに限界を感じていました。

そんな時、当時取引のあった富士フィルムビジネスイノベーションジャパンコンソーシアムから、販売管理業務や経理業務をDX化するITツール導入の提案があり、具体的に検討することとなったのです。

<導入したITツール>
2つのITツールを連動させ、自社仕様へのカスタマイズが可能に!

当社の通販は定期購入が多く、発送業務を自動化できる仕組みを構築したいという思いがありました。定期購入とはいえ毎月一括発送日を決めているわけではなく、お客様ごとの希望日に合わせて発送していましたので、そのオペレーションはとても複雑で、既存の販売管理システムのパッケージでは対応しきれなかったのです。IT導入支援事業者の富士フィルムビジネスイノベーションジャパンコンソーシアムからは、ITツールの提案と同時に、当社の細かな要望に合わせてカスタマイズ可能かどうかディテールに至るまで具体的な仕様提案もしてもらいました。時間をかけて検討した結果、導入を決めたのは、販売管理システム「PCA商魂DX」と指定伝票発行システム「伝助」という2つのITツールです。

2つのツールを選んだのには理由がありました。当社独自の仕組みや伝票フォーマットに合わせた顧客データ管理など、システムをカスタマイズできることが必要だったのです。受注データや売上データを管理する「PCA商魂DX」は販売管理には優れていますが、カスタマイズはできません。しかし「伝助」と連動させることで、当社の課題であった定期購入の自動化を実現できることがわかったのです。これは大きな選定理由となりました。

また導入に際してIT導入支援事業者から提案された「IT導入補助金」を活用しました。DX化が急務であることを認識していながら、なかなか一歩を踏み出せずにいましたが、「IT導入補助金」はITツール導入を力強く後押ししてくれました。

ITツール導入後、旧システムからデータを移行して新システムの運用開始までは、比較的スムーズに進めることができました。これは導入を決めるまでに、IT導入支援事業者とともに慎重に吟味しながら、当社独自の仕組みやオペレーションに沿った運用方法ついて、徹底的に話し合いを重ねてきたからだと思います。

<効果>
延べ12時間かかっていた伝票発行業務が、2時間で完了!

導入後の効果は受注業務から、伝票発行業務、そして経営戦略に至るまで多岐にわたります。

まず受注業務においては、システムの処理スピードが格段にアップしたため、電話注文時のオペレーションが飛躍的に早くなり、お客様をお待たせすることがなくなりました。また、定期購入のデータ管理も自動化されたため、これまで顧客ごとに次回発送日を確認して手作業で伝票を発行していたのに対して、その作業が一切不要となった上に商品間違等の人的ミスも解消され、クレームも半減しました。

伝票発行についても、従来は手作業で顧客データを入力し直していたところを、「伝助」と「PCA商魂DX」が連動しているため、伝票用の入力作業が削減できます。その結果、1日に発送処理できる件数も増え、これまで2人がかりで延べ12時間かかっていた業務が、わずか2時間で完了できるようになったのです。

また、経営的な側面では、受注数や売上などの数字がある程度リアルタイムで確認できるようになったことも大きな成果でした。アナログな手法に頼っていた導入前は、正確な会計データを確認するには会計士に依頼する必要があり、1〜2カ月を要していましたが、知りたい情報をいつでも即時に閲覧できるのはありがたいですね。経営状況が俯瞰して見渡せることもデジタルデータのメリットだと思います。

業務効率が上がってゆとりが生まれたことで、スタッフの意識も変わりました。例えば、卸売向けの発送が集中する繁忙期は、スタッフの手が回らなくなるため通販サイトをクローズして受注数を調整することもありましたが、導入後はその必要がなくなったのです。結果として昨年は顧客数にして2割、売上で1割実績を伸ばすことができました。

次のステージへ大きくステップアップするための第一歩を踏み出すことができたと感じています。

<今後の展望>
海外展開を見据え、
さらなる販路拡大を目指す

販売管理については、今回の導入でDX化がかなり進みました。次の課題は、労務管理や経理のDX化を図り、販売管理システムと連携させていくことです。現在も一部の伝票などは手書きしておりアナログな状況です。しかし、徐々にDX化を進めて適正人数で効率化を図ることで利益率を高め、従業員の満足度向上を目指したいと思います。「PCA商魂DX」は労務管理システムへの拡張性もあるので、比較的の早期に導入を実現できるのではないかと考えています。

また通販業務においては、海外展開を視野に入れて今後の可能性を模索しているところです。弊社の強みは「宝寿茶」をはじめほとんどの製品が、素材や製法にとことんこだわって自社開発したものだということ。ですから品質には自信があります。海外市場の販路開拓には数々の課題があると思いますが、方法さえ見つかれば、必ず海外のお客様にも受け入れられると考えています。

<IT化を進めようとする皆さまに一言>
IT導入補助金のバックアップにより、社内理解という大きな壁をクリア!

多くの中小企業にとってDX化は喫緊の課題でありがながら、いざ導入するとなるとコストが高額でなかなか前に進めないことが多いと思います。私どもも同様で、魅力的なITツールがあってその必要性を感じていても、コスト面で社内の承諾を得ることが厳しい状況でした。

そんな中、導入コストをバックアップしてくれるIT導入補助金の存在は大変心強く、おかげさまでDX化へ向けて大きく舵をきることができました。IT導入をご検討の中小企業の皆さまには、最終的な社内理解を得る決め手としても、ぜひIT導入補助金の活用をおすすめしたいと思います。

DX化へ向けて大きく舵をきる宝寿園
取締役事業本部長 倉持順一様

企業概要

会社名 株式会社宝寿園
URL

https://www.houju.co.jp/

住所 東京都新宿区岩戸町4番地
従業員数 9名
事業内容 卸売業、小売業、飲食業
従業員数 9名