元請け比率を高めるため、
公共工事用の積算システムを導入

株式会社ホーム・アート(大阪府堺市)

IT導入補助金2021 C類型-1

公共工事の入札に特化した土木積算システムの導入で業績向上を目指し、若い人たちが働きやすい職場づくりを推進する。

<抱えていたお悩み>
公共工事の入札に参加するも、落札できたのは10年で1件だけ

株式会社ホーム・アートは、大阪府堺市で電気設備工事業を手掛けています。電気設備工事業はとても厳しい業界で、建築・土木関連の下請け受注で価格競争を強いられ、その結果、労働環境の悪化を招き、若い世代から人気がなくなって人手不足に陥っています。

当社は、下請け受注が6割、元請け受注が4割と、同業他社に比べれば元請け比率が高い方だと思いますが厳しさは同様です。より元請け受注を増やすことで業績向上を果たし、スタッフの高待遇・高福祉につなげていきたい、お客様もスタッフも双方満足できる仕組みを構築したいという思いがありました。

元請け比率を上げるには、地方自治体などが実施する「公共工事」の受注は外せません。しかし、公共工事の競争入札は最低価格が設定されているのですが、公平性を保つため“非公開”となっており、その価格を割ることなく落札するためには緻密な積算*が求められます。当社がここ10年で受注できたのはわずか1件。公共工事の積算精度を高めていく必要がありました。

*設計図や仕様書から材料や数量を算出し、工事費の見積もりを行うこと。

<導入したITツール>
土木積算システム ATLUS REAL Evo(NET版)

公共工事は民間工事と積算の考え方が異なる上に非常に難易度が高く、積算精度を高めるためにITツールの導入は不可欠です。そこで、公共工事の受注率が高い同業他社が使用しているITツールをリサーチし、2021年11月に積算の精度に定評がある公共工事特化型の「土木積算システム ATLUS REAL Evo(NET版)」を導入しました。

正直に言うと、コスト面ではかなり悩みました。IT導入支援事業者(システムズナカシマコンソーシアム)からIT導入補助金活用の提案がなければ決心がつかなかったかもしれません。補助金のおかげで背中を押してもらえてありがたかったですね。

補助金の申請はIT導入の目的や目標が明確にありましたので、スムーズに進めることができました。苦心したのはスタッフの動機付けです。経営層の思いでITツールを入れたものの、現場が使いこなせず上手く活用できなかったというのはよくある悩みではないでしょうか。

スタッフからは、公共工事の積算に不慣れな上に「ツールの操作方法が分からない」と不安の声が上がっていました。そこで経営陣も一緒にサプライヤーの相談会等に足を運んで不安に寄り添い、同ツールをうまく活用している他社の見学をさせてもらうことで、苦労を乗り越えた先にある成功イメージを持ってもらえるよう心掛けてきました。入札は1件ごとに条件が違うため、現在もスタッフは毎日、IT導入支援事業者のサポートセンターに電話をかけて積算精度を高めるアドバイスを受けています。こうしたサポート体制の手厚さもツール選定の要だと思います。

<効果>
入札参加件数が大幅に増え、スタッフの意識にも変化が

これまで年に数回しか公共工事の入札に参加することができませんでしたが、導入後の2022年度は4〜6月の3ヶ月間で、すでに5件の入札に参加しています。まだ受注には至っていませんが、入札数を増やせただけでも大きな導入効果です。

公共工事に対するスタッフの意識も上がっており、自主的に入札情報サービスを確認して「堺市でこんな募集が出ていましたよ」「積算見積もりしてみましょうか」というやりとりが聞こえるようになりました。これはツール導入前には考えられなかった意識の変化です。繰り返し入札にチャレンジすることで積算精度が高まり、受注率が上がっていくだろうと頼もしく感じています。

<今後の展望>
まずは年間1億円の公共工事の受注が目標
地域に貢献し、働きがいのある会社に

5年後には、元請け受注比率を現状の4割から7割に向上させます。売上げも現在の2倍を目標としており、達成することで雇用の促進を図りたいと考えています。

そのために、年間1億円の公共工事を受注するのが当面の目標です。当社は電気工事のボリュームゾーンである2000万円以上〜1億円未満の入札に参加しているため、年間2〜3件の受注を目指します。

地域の学校や公共施設の電気工事を請け負うことにより知名度が上がれば、民間企業からの指名による元請け発注も増えます。当社の技術やサービスをより多くの人が利用しているという状況を創り出し、地元である堺市になくてはならない電気工事店に成長していきます。

また当社には、スタッフが自分のお子さんも入社させたいと思えるような会社をつくりたいという強い思いがあります。現在、従業員18名のうち7名が女性、2名がベトナム人技術者です。電気工事業界の平均年齢は45.2歳ですが、当社の平均年齢は34歳と若い人たちが活躍しています。さらに多様な働き方や一人ひとりがいきいきと輝ける職場環境を実現するため、今後もさまざまな業務領域のIT化を進め、業界の人手不足の解消にも寄与していきたいと思っています。

<IT化を進めようとする皆さまに一言>
効率化を図るにはIT導入は欠かせません。
業績を上げ、共に日本を元気にしていきましょう!

いま一番感じるのは、日本がもっと元気になっていってほしいということ。そのためには日本企業の約95パーセントを占める中小企業が元気にならなければ、お客様も働いている社員さんも困ってしまいます。

中小企業は、大手企業に比べて非効率な仕事を請け負わざるを得ない現実があります。それでも業績が良い会社は自社でマネジメント体制を整え、効率化を図ることで利益を上げています。IT導入は、業務の効率化を図るために欠かせないものです。

利益のために人に無理をさせるのではなく、IT活用による効率化で業績を上げれば、みんなが笑顔になって人手不足も解消します。ぜひ多くの中小企業の皆さんにIT導入補助金を活用していただき、自社の業績を上げることで日本を元気にしていってほしいなと思います。

次世代に少しでも良いバトンを渡していけるよう、一緒に頑張っていきましょう!

企業概要

会社名 株式会社ホーム・アート
URL

https://www.homeart.co.jp/

住所 大阪府堺市堺区二条通2番14号
従業員数 18名
事業内容 電気設備工事業

公式Instagramにて最新情報配信中!
https://www.instagram.com/accounts/login/?next=/homeart__official/
従業員数 18名