基幹業務システムをクラウド化し、
効率アップ!

従業員の意識改革も進め、
働き方改革を実現

計測検査株式会社(福岡県北九州市)

IT導入補助金2020 C類型-2

単純作業はITツールに任せて、人はもっと創造的な業務を!
計画的な補助金の活用でIT化を進め、企業の永続を目指す

<抱えていたお悩み>
IT化で事務作業の効率化を図りたいが、導入コストが課題

弊社は、1974年の設立以来、ものを壊さずに構造物やトンネル内のひび割れなどの有無を検査する非破壊検査や、応力・振動測定及びその解析等を手掛けてきました。近年、交通規制を行わずにトンネル内を画像撮影できる計測システム(MIMM)を開発し、より高精度で効率の良いトンネル初期点検を実現。地域未来牽引企業、健康経営優良企業、北九州オンリーワン企業等、多方面からご評価いただいています。

しかし、社内は未だに「紙文化」。従業員約140名の給与明細を配布する作業や日々のタイムカードの集計・入力作業、年末調整にかなりの業務負担がかかっていることが課題でした。

事務作業はどんどんAIに置換されていく時代です。弊社も数年前から「戦略総務」のスタンスを打ち出し、単純作業はITツールを活用して合理化し、従業員はより働きやすい職場環境づくりを考えるといった創造的な仕事を担うべきだと考えていましたが、問題はIT導入にかかるコストです。財務基盤が盤石とは言えない状況で、どのようにIT化を進めていけばよいのかが悩みでした。

<導入したITツール>
「総務人事奉行クラウド」「給与奉行クラウド」「奉行クラウドEdge年末調整申告書クラウド」を導入し、総務の基幹業務を“クラウド化”

弊社は10年以上前から総務の基幹業務に奉行シリーズ*を導入しており、今回IT導入補助金を活用してそのクラウド化に踏み切った形です。以前からシステム納入でお付き合いのあるIT導入支援事業者(富士ゼロックスコンソーシアム)にIT導入補助金活用の提案を受け、申請手続きのサポートをしてくれるところにメリットを感じて依頼。申請書類の書き方から丁寧に教えてもらい、あまり人手や時間をとられることなく手続きを進めることができて助かりました。

導入に伴い社内ルール等を変える必要はありませんでしたが、ITツールをクラウド化すると多くの人は「自分の情報が流出するのではないか」と不安を感じるようです。また、ITに不慣れな年配の従業員は、自分でデータ入力することに苦手意識を持っていました。こうした一人ひとりの不安に寄り添い、慣れるまでは一緒に画面を確認しながら入力を行うなど、状況に応じたサポートで安心感を持ってもらえるように心がけました。

※会計ソフトウェアを中核とする「奉行シリーズ」の契約単位の一つである「iSシステム」を導入。従業員100名~300名までが対象で、基本機能+多角的分析機能が利用できる。

<効果>
年間60万円のコスト削減のほか、
コロナ禍のリモートワークにもスムーズに対応

クラウド化したことで給与関係の業務が効率化されましたが、なにより給与明細の配布作業がなくなったことが大きいですね。配布業務や年末調整に携わる人件費と遠方の現場にいる従業員への郵送費等を計算すると、年間60万円以上のコスト削減効果が出ています。また、総務部門のメンバーはITツール導入後1名減となりましたが、後任者を置くことなく業務を遂行することができています。

年末調整は従業員本人がクラウド上に必要事項を入力してもらうようになったため、総務担当者は用紙を配布・回収して手入力する作業がなくなり、データを最終チェックするのみに。ペーパーレス化も進み、年末調整だけで560枚削減。毎月の給与明細も考慮すると相当量の削減につながっています。

コロナ禍のリモートワークにも、スムーズに対応することができました。感染状況が落ち着いた現在も、総務部は50%の出社ですべての業務が可能になっています。今回のクラウド化は、今後はテレワークが当たり前の働き方になるという将来を見越しての働き方改革の一環でしたが、コロナ禍が重なったことで従業員も導入効果を実感しやすく、スピーディーに意識改革が進んだと感じています。

<他の補助金活用について>
市のDX推進補助金で「Microsoft Teams」を導入。
中小機構の支援メニューもフル活用。中小企業大学校は人材教育に欠かせない場に

リモートワークの増加に伴い、「北九州市中小企業のDX推進成長支援モデル事業補助金」を活用して、オンラインミーティングができるコラボレーションツール「Microsoft Teams」の有料版を導入しました。

人事・給与・年末調整に続いて経費計算のクラウド化も目指し、同奉行シリーズの会計クラウドや経費精算システムの導入を検討。現在、2021年度のIT導入補助金を申請中です。実現すればWEB上で経費申請が可能となり、出張等の経費精算も手渡しではなく振込によるキャッシュレス化で作業量が削減。経理担当者も、よりリモートワークがしやすくなります。

その他、ものづくり補助金など中小機構のさまざまな支援策を積極的に活用しています。とくに中小企業大学校*は弊社にとって人材教育に欠かせない場となっており、課長以上は必ず経営管理者養成コースを受講して必要な知識を学んでいます。大学校の皆さんは弊社が活用しやすい支援策をご提案くださるなど、とても親切なんですよ。

※中小機構が運営する中小企業のための人財育成機関。全国に9か所ある。自社課題の解決を重視したカリキュラムは会社ですぐ活かせると好評で、これまで延べ68万人が受講している。

<今後の展望>
ITツールを「学びの場」として活用し、
従業員一人ひとりのマーケットバリュー向上を目指す

順調に経費計算システムが導入できれば、経理の年間作業時間が3ヶ月近く削減される見込みです。また、弊社は技術サービス業ですので、つねに技術者のマーケットバリューを上げ続けなければならないという課題があります。今後はTeams等のITツールを人材教育にも積極的に活用し、従業員が講師となって社内研修を活発化させることで従業員一人ひとりのマーケットバリューを上げる取り組みを行っていきます。

次の課題として電子契約と電子決済の実現があり、こちらは2022年度のIT導入補助金を活用してのシステム導入を計画しています。IT化にはコストがかかるため、弊社のような中小企業はすべてを一気に進めることができません。そこで公的支援を活用しながら毎年ひとつずつIT導入して会社を変えていく計画を立て、5年間のロードマップをつくって適切なタイミングで補助金申請を行っていきます。

<IT化を進めようとする皆さまに一言>
自ら積極的に情報を取りに行き、計画的な申請を


業務のIT化は、企業を永続させるために必須だと考えています。また、世の中の変化に合わせて自社も変化していかなくては生き残れないという危機感を持っています。


同時に、組織や従業員の意識も変えていかなければ、結局ITツールを使いこなせずに取り残されてしまいます。誰しも最初のうちは新しい仕組みに不自由を感じるもの。弊社もクラウドツールを導入した当初は不満の声がありましたが、これからはそれが当たり前の世の中になることを理解してもらい、「不自由を楽しく変化させていこう!」と明るく根気強く取り組むことで、徐々に導入効果を実感してもらうことができました。

コロナ禍の影響が深刻な中でIT化に投資していかねばならない中小企業にとって、公的支援は本当にありがたいものです。しかし、申請から採択までには審査等の時間がかかるので、タイミングを逃さないためにも日頃から情報収集し、早めに自分たちが活用できそうな補助金を探しておくことをおすすめします。私たちも情報は自ら積極的に取りに行っており、中小機構から届くメルマガも必ず目を通して有益な情報を見逃さないようにしています。その業務に週2〜3時間は費やしていますが、それだけの価値はありますよ!

企業概要

会社名 計測検査株式会社
URL

http://www.keisokukensa.co.jp/

住所 福岡県北九州市八幡西区陣原1丁目8番3号
従業員数 132名(2021年9月現在)
事業内容

非破壊検査、各種構造物・機械設備等の総合的設備診断

従業員数 132名(2021年9月現在)