株式会社五月商店(岐阜県各務原市)
IT導入補助金2021 C類型-1
業務のIT化を「決心」し、働きやすい職場づくりを実現
従業員の定着率が上がり、採用面接数も増加
弊社はプロパンガスの販売から始まり、今年で創業60周年を迎えます。現在はガスや水道といった住宅設備工事やリフォーム、介護用品の販売・レンタルも手掛け、住宅設備と介護の両面から地域の皆様の安全・安心・便利な生活に貢献しています。
また、2019年に地元企業から駐車場管理事業を譲り受け、子会社を通じて各務原市内で約2000台の月極駐車場を管理しています。当事業は譲渡前から賃貸管理ソフト「賃貸革命」で業務管理を行っており、システム老朽化に伴いバーションアップの必要性に迫られていましたが、コスト面に苦慮し、先延ばししている状況でした。
数年前から業務のIT化による働き方改革を進めていましたが、外部専門家の知見も活用した方が良いのではないかと思い、2020年度に中小機構の「IT経営簡易診断」、2021年度には「デジタル化応援隊事業」を利用しました。その過程でIT導入補助金を知り、DX推進に活用したいと考えましたが、弊社の業務内容に適したシステムが見つからないのが実情でした。そうした折に、IT導入支援事業者(日本情報クリエイト株式会社)から「システムのバージョンアップにも補助金が活用できる」とのアドバイスを受け、まずはできるところから補助金を活用していこうと考えました。
「賃貸革命」は、賃貸管理業務の流れに沿って開発された賃貸管理ソフトで、募集業務から契約、請求、入金までワンストップでカバーする網羅性の高さに定評があります。物件情報をワンクリックでお客様と共有したり、簡単に自社サイトに掲載するといった営業活動に役立つ機能も搭載されています。
IT導入補助金は、ソフト本体の費用だけでなく、導入後の研修や導入計画にかかる費用も補助対象であるところが良いですね。弊社もIT導入支援事業者による研修サポート費用に補助金を活用し、専属講師を2週間にわたって派遣してもらいました。既存システムのバージョンアップとはいえ、担当の職員は新たな機能や操作を覚えることにかなり苦心していたため、こうした手厚いサポートがなければスムーズな導入・運用は難しかっただろうと思います。
また、弊社では介護関連事業を手掛けていることもあり、さまざまな助成金や補助金の申請書類を作成・提出する機会がありますが、IT導入補助金の申請は他の補助金事業に比べて格段にシンプルでした。添付する書類がとても少なく、申請の手順もわかりやすいため、自社で申請を行うことができました。
バージョンアップした「賃貸革命」によって、これまで別々に管理していた物件・契約・賃料に関するデータが一元化され、二重請求や請求額の間違いがあればアラートが出るようになったため、属人的なミスが減少しました。自社サイトに物件写真や動画がアップできるようになったことで、コロナ禍で接客が困難な時期でも新着物件を案内しやすく、お客様からも「物件が選択しやすい」「現地まで見に行かなくても良いので助かる」と好評です。
IT導入は、すぐさま効果が出ることを期待するのではなく、効果が出るまで根気強く取り組む姿勢が大事ではないでしょうか。弊社は営業ツールのIT化による働き方改革を進め、岐阜県の「ワーク・ライフ・バランス推進エクセレント企業」に選定されていますが、当初、従業員の多くはIT化に戸惑いを見せていました。「これまでのやり方を変えるのは面倒だ」という思いが強かったようです。しかし、気づいたら業務が効率化して時間的な余裕が生まれ、今では、有給消化率が8割を超え、男性5名が育児休暇を取得しています。そのように目に見える効果が表れてきて、やっと「もっとITを活用して業務を改善しよう」という前向きな動きが出てきました。職場環境が整備されたことによって従業員の定着率も高まっただけでなく、地域において「五月商店は従業員を大切にする会社である」という評判が広まり、採用面接も年間60〜70人まで増えています。
高齢化が進み、人口も減少していることから地方経済は厳しさを増しており、弊社のような中小企業はバックオフィスの効率化が事業継続の要です。今後もIT導入補助金を活用して、積極的にITツールを導入して業務の効率化を進めていきたいですね。
たとえば、紙の請求書をデータ化して統合するようなシステムを導入すれば、事務職員が請求書の数字をエクセルに打ち込み直すといった二度手間の作業がなくなります。そのぶん人材をより能動的な仕事に振り替え、顧客サービスの向上や営業をサポートするチーム体制の構築につなげることができます。
会社全体としては、今後も地元を大切にし、地元のお客様に喜んでいただけることを増やしながら事業拡大を目指します。たとえば地域の困りごととして、住人の高齢化や実家が空き家になったことから「駐車場や家の周辺の草刈りができない」という悩みがあります。そこで地域のシニア人材を活用し、サブスクリプション契約で整備代行する新規事業を始めたところ、さっそく約2割の駐車場オーナーから依頼を受け、シニア雇用の創出という面からも喜ばれています。地元のために働くことは、従業員のやりがいにもつながります。人口減少といった困難に負けず、一生懸命頑張りたいと思います。
IT化の推進は「目標を持つこと」、そして「決心する」ということに尽きると思います。以前、弊社の就職説明会にまるで人が集まらなかったことで、うちはどうなるんだと激しく衝撃を受けたことが「意欲的で優秀な若い人に興味を持ってもらうには、会社が変わらなければいけない」という決心につながりました。
将来的には各事業の顧客データを一元化し、新規事業の創出などDXを実現したいと考えていますが、そのためにはIT人材の確保や従業員に対するIT教育が欠かせません。一方で、労働力人口の減少が深刻化する中、とくに地方は若者が少なく、中小企業に人が集まらないという厳しい現実があります。しんどくてもさらに改革を進め、会社の魅力を高めていかなければ、おそらく中小企業に未来はない。今やるしかないという経営陣の決心が、IT導入の推進力や持続力に繋がっています。
IT導入補助金は、中小企業にとって本当に良い制度だと思います。積極的に活用して仕事を楽にし、お客様に喜んでもらえるサービスを増やしていきたい。そして従業員一人ひとりにやりがいを持ってより創造性のある仕事をしてもらいたいという思いです。お互い頑張りましょう。
会社名 | 株式会社五月商店 |
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URL | https://www.satsuki-5.co.jp |
住所 | 岐阜県各務原市鵜沼古市場町2-56-3 |
従業員数 | 39名 |
事業内容 | 住宅設備工事、リフォーム、介護用品のレンタル・販売 ユースエール企業、ワークライフバランスエクセレント企業など表彰多数 |
従業員数 | 39名 |