大友産業株式会社(愛知県名古屋市)
IT導入補助金2021 C類型-1
大友産業株式会社では、料理の決め手となる「だし」を中心とした食品通信販売を手掛けています。当社は1977年に食品の卸会社として設立し、2007年に現代表がM&Aにより株式取得し、2020年から「キッチン大友」ブランドで通信販売をスタートしました。当初は新聞広告やカタログ、ダイレクトメールを中心に販売してきましたが、インターネット販売についても比較的早い段階から独自に制作したECサイトを通じて行ってきましたが、注文のほとんどは紙メディアを見たお客様からの電話またはファックスで、自社ECサイトによる受注は少ない状況でした。
当初は売上も好調だったのですが、2013年に「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されたことをきっかけに、だし市場の競争が激化したことによる影響で、思うように受注がとれなくなってきました。もともと中京エリアではだしを販売する企業は少なかったのですが、この頃から他県からの進出も相次ぎました。
以降、打開策を求めて百貨店の催事に出店するようになり、試食販売でお客様へダイレクトに伝えることで通販へ誘導しようと試みましたが、たとえ催事で集客できたとしても通信販売の受注にはなかなかつながりませんでした。さらには、コロナ禍の影響によって、催事そのものがなくなってしまったのです。とはいえ、ありがたいことにコロナ禍で「おうち食」が注目された影響で、だしをはじめ当社の商品はたびたびメディアに取り上げられ、特需ともいえる受注がありました。しかし、問題はその後です。
この先、インターネット販売において、着実に集客し、売上拡大につなげるためにも、従来の自社ECサイトとは異なる新たなECサイト構築の必要性を感じ、さまざまなカートシステムを本格的に検討し始めました。
新しいECサイト構築は数年来の課題でしたので、兼ねてから通販業界の展示会をはじめ、セミナーやメールマガジン、雑誌、同業者のネットワークなどあらゆる情報源にアンテナを張って、情報収集をしていました。数年間かけて調査した末に3社に絞り込み、ベンダーに直接相談しながら検討しました。最終的に選んだのはネットショップ支援室が提供する「楽楽リピート」でした。
選定のポイントは定期通販に特化したカートシステムであること、操作性が良いこと、CRM機能を備えていること、サポート体制とコストです。いくら素晴らしい機能が搭載されていたとしても、自社にあっていなかったり、できることが多すぎて使いこなせなかったりすると成果にはつながりません。また、提携している収納代行会社の信頼性や営業マンの対応なども判断基準となりました。
IT導入補助金の対象だったことも、もちろん選定理由の一つです。IT導入補助金については、3社に絞り込んだ段階でベンダーからの情報で知りました。新たなECサイト構築となると、大きな費用が動きますので補助金のサポートがあることで、導入費用と1年目のランニングコストの面でリスクが軽減され、大変助かりました。
※CRM(Customer Relationship Management)=顧客関係管理とは、企業と顧客の関係性を管理すること。顧客満足度向上を通して、売上拡大と利益の最大化を目指す経営戦略。
効果として一番大きかったのは、受注から発送までとても煩雑だった一連の業務が、お客様がECサイトで購入した段階ですべて完結するようになったということです。従来は、電話、ハガキやファックス、自社サイトという4パターンの受注ルートがありましたが、いずれも受注管理システムに手入力して納品書を出力し、決済方法ごとに代引きやコンビニ決済の収納代行の手配、宅配便伝票の手書き、入金の消し込み作業にいたるまで、アナログな方法で個別に対応していました。さらには、未入金の顧客への催促の電話、振り込み票を紛失した顧客への再発送なども多く、回収できないこともあったのです。
それが新規E Cサイトでは、顧客が購入時に入力した情報が、そのまま受注データとして連動し、宅配便会社との連携、発送伝票や納品書の出力、決済まで、すべてが自動化されたため、受注後の作業もそして人的な作業による入力ミスもほぼゼロになり、作業時間の大幅削減、ペーパーレス化につながりました。決済についても決済会社を通すことで回収できないケースも減少し、入金の消し込み作業はもちろん、督促の手間も省くことができました。
他にも、「月に一度だけだった定期便が、毎日発送可能に」、「従来システムでは複雑だった決済方法がシンプルに」、「ポイントの一元管理」、「会員ページで定期便の内容や発送日、情報の変更を顧客自身が自由できる」、「受注や解約に関する数字のデータ解析が可能に」など、多くが改善されました。
作業効率が飛躍的にアップしたので、社員を交代で休ませるようにしています。これにより仕事への意欲や責任感も芽生えるようになりました。プライベートの時間で豊かな経験によって成長していると実感しています。業務の効率化が働き方改革にもつながりました。
楽楽リピート導入前の仕組みでは、受注をこなすので手一杯で、販促的な施策は何もできませんでした。したがって注文が入ったとしてもフォローができず、機会損失することもありました。
楽楽リピートを導入したことによってマーケティングに活かせる情報収集が可能になり、業務効率が格段にアップしたことで新たな戦略に時間をかけられるようになりました。今後は、定期便の新規顧客獲得や継続率向上を目指して、データ分析をはじめ、キャンペーンや広告、SNS連動などマーケティング戦略に力を注いでいきたいと考えております。また、中小機構の「EC活用支援アドバイス」制度を利用し、SNSの有効活用や商品ページの改良などについて、現在も継続してアドバイスを受けています。
以前、広告代理店で働いていた経験から比較的デジタルには強いので外部の広告代理店と提携してデジタル広告を強化したいと考えています。その他にもマーケティング戦略的に楽楽リピートと連動できること、使えてない機能もたくさんありますので、一つずつ着実に実行していきたいと思います。
当社は、新たな試みを実現するために試行錯誤する中で、IT導入補助金にたどり着きました。ECサイトを新規で立ち上げるには、多大なコストと労力、そして覚悟が必要ですが、この補助金のおかげで思い切って大きな一歩を踏み出すことができました。導入コストとランニングコスト1年分をサポートしてもらえるのは大変ありがたいですね。
また、IT導入補助金を知ったことで、次なるチャレンジにもつながりました。B to BのITシステムをクラウド化するという新たな課題を解決するべく、ITツールを導入することができたのです。その結果、セキュリティ面も強化できた上、作業効率も大幅に改善できました。
IT支援事業者のサポートもあって、申請そのものは簡単で、悩むことはありませんでした。チャレンジしてみたいことがある中小企業にとって、背中を押してくれるありがたい制度だと思います。
会社名 | 大友産業株式会社 |
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URL | https://ohtomo-s.co.jp/ |
住所 | 愛知県名古屋市中区錦2-11-5 |
従業員数 | 3名 |
事業内容 | だしを中心とした食料品の卸売・小売業 / インターネット販売 |
従業員数 | 3名 |