事業規模にあった会計システムを導入し、
経理業務の負荷軽減とスピーディーな経営判断を実現

ケーズメタル株式会社(富山県高岡市)

IT導入補助金2021 C類型-1

IT化を進めて、働きやすさと効率化を追求し、少人数でも強い組織をつくる

<抱えていたお悩み>
試算表の作成に2ヶ月
時間のかかる経理業務を効率化したかった

弊社は2005 年に創業し、精密加工板金、工作機械のカバー製作を中心に日本のものづくりを支えるお客様の多様なニーズにお応えできるよう、コンパクトで合理的な生産体制・管理システムを追求してきました。人流を整え、無駄をなくすため、積極的にITツールやロボット等を導入して自動化を進めています。

とはいえ計画的にIT化を進めてきたわけではなく、何か問題が起こるたびに対処する形での導入でした。もっと便利な仕組みが世の中にはあるはずだけど、私たちが知らないことも多いはず。そんな思いから中小機構の「IT経営簡易診断」を受けたところ、経理業務のIT化の遅れについて指摘を受けました。経理業務は役員である専務が一人で担当していたこともあって、自らの大変さや不便さよりも工場の設備投資等を優先し、すでに事業規模に合わなくなった会計システムを苦心しながら使い続けていたのです。データの入力作業に時間がかかるうえに会計事務所とのやりとりは紙ベースで、試算表の作成に2ヶ月ほど要していました。

さらに、2021年に新工場を建設したところでコロナ禍に見舞われ、リアルタイムで業績を管理し、迅速な経営判断・意思決定につなげたいという思いが出てきたことから、新システムの導入とクラウド化を決意。IT経営簡易診断を受けた際に紹介されたIT導入補助金を活用するため、急いで資料を整え申請しました。

※IT経営簡易診断・・・中小機構が行っている無料の支援メニュー。専門家との3回の面談を通して、経営課題・業務課題を全体最適の視点から整理・見える化し、IT活用可能性を提案する。
https://www.smrj.go.jp/sme/enhancement/diagnosis/index.html

<導入したITツール>
会計ソフト「FX4クラウド」

いくつかの会計ソフトを実際に試した上で、「FX4クラウド」を選択しました。税理士が使用していたシステムであること、そしてIT導入支援事業者(株式会社TKC)のサポート体制が手厚く、困ったときに担当者がすぐ電話や対面で対応してくれるところに安心したからです。

見積もりが高額で導入に迷いもありましたが、私たちのような小規模な企業はIT導入のために人材を配置するのがむずかしいため、コストがかかってもサポート体制が充実している製品のほうがスムーズに運用できます。IT導入補助金はサポートにかかる費用も補助金でカバーできたので、その点もありがたかったですね。

導入のタイミングでIT導入支援事業者が過去3年分の試算表と決算書をすべてシステムに入力してくれたため、データ比較や金融機関に提示する財務資料の作成がすごく楽になりました。すべての経理書類を電子化できたため、科目ごとにファイリングする手間もありません。クラウド上で会計事務所と共有フォルダを持つことで、会計に関するデータをタイムラグなく確認できるようになりました。

<効果>
試算表の作成が2か月から1か月に短縮!
財務データをもとに、会社の未来をじっくり考える余裕ができた

FX4クラウドを導入したことで、経理業務が飛躍的にスピードアップしました。試算表の作成は1か月に短縮されましたし、経理書類をすべて電子化しクラウドで共有することで会計事務所との紙のやりとりが必要なくなりました。また、書類保管の手間も保管場所も必要なくなり、管理がとても楽になりました。

一つひとつの作業が時間短縮した結果、経理業務のために土曜出勤が恒常化していた専務も従業員と同じく週末は休めるようになりました。コロナ禍でテレワークせざるを得ない時も問題なく経理業務や受発注・請求書の作成までこなすことができ、とても助かりました。

経理にかかる手間が軽減したことで気持ちに余裕ができ、経営について先々まで考えることができるようになったと感じています。さまざまな補助金の申請も、売上データ比較などの資料作成が億劫で腰が重かったのですが、今では「すぐにできるからやってしまおう」と前向きな意識に変わっています。補助金の申請条件が自社にマッチするかどうかといった判断もしやすくなりました。

FX4クラウドは項目ごとにデータにロックをかけたり、業務に必要な権限のみを担当者に与えたりすることもできるため、将来的に経理業務を従業員に任せることを思い描けるようになったことも大きいですね。これから会社の規模がさらに大きくなっても使い続けられるシステムだということに安心しています。

<今後の展望>
補助金を活用しながらIT化を進め、働きやすさを追求して、事業の持続性を高める

私たちは「Challenge to Change 変わりつづける、挑戦。」を信条としています。そう考えるようになったきっかけは、7年前に申請した「ものづくり補助金」でした。

それまで私たちは補助金申請をとてもハードルが高いものだと考えており、小さな企業は中古設備を買うしかないと思い込んでいたのです。ところが補助金を申請し、採択されたことで最新設備を導入することができ、生産性が大きく向上。納期が短縮してお客様から喜ばれるだけでなく、故障の心配もなくなったことから従業員のストレスや残業も減って定着率が上がりました。採択されたことで、「国に弊社の取り組みを認めてもらえた!」という自信がつき、新工場設立という大きな決断にもつながりました。

これまで特別なスキルのある技術者でなければできないとされていた工程も、思い切ってIT化したり、新しい機械を導入することで女性社員が工場で活躍できるようになっています。あらゆる面から働きやすさを追求することで、少人数でも強い組織をつくることができ、事業の持続性が生まれるのではないでしょうか。まだまだ改善すべき点はたくさんありますが、だからこそ伸びしろがあると考え、補助金等を活用しながら挑戦し続けていきたいと思っています。

<IT化を進めようとする皆さまに一言>
IT化に取り組むことで労働生産性が上がり、会社の未来が変わります

私たちはIT化の推進により、確実に労働生産性が上がりました。

ITツールは、メーカーサイトに費用が明記されていないことが多く、問い合わせに勇気がいります。補助金申請も「どうせ通らないんでしょう?」というネガティブなイメージから最初の一歩が踏み出せないという話を聞きます。でも、まずはやってみることが大事ではないでしょうか。とくにIT導入補助金は毎年挑戦ができますから、何度でも申請してみる価値があると思います。

業務の効率化にITツールは欠かせないものですが、「IT化が進むと私たちの仕事がなくなるのでは?」と不安に感じる従業員もいます。導入の際は、IT化の目的は人を減らすためではなく働き方改革であること、たとえば「介護のような誰にでも起こりうる問題に対して休みを取りやすくする」といった具体的なメリットを示しながら従業員に説明し、労使間の信頼関係を損ねないよう配慮しています。

とにかく経営者も従業員も目の前のことに一杯いっぱいになっていては先のことが考えられません。業務を効率化し、空いた時間で将来のことをしっかり考えることで、会社の未来が違ってくるのではないかなと思います。

企業概要

会社名 ケーズメタル株式会社
URL

http://ks-metal.co.jp

住所 富山県高岡市ICパーク3番地
従業員数 33名
事業内容 薄板板金加工、各種機械装置の設計・製作・組立
従業員数 33名