地域の特産品に特化した
ECサイトへの出店で
新たなチャンスを狙う

市原ファーム(島根県邑智郡川本町)

IT導入補助金2021 C類型-1

人口約3300人の自然豊かな里山で養鴨(ようおう)と食肉加工・販売を手がける市原ファーム。
47都道府県の特産品お取り寄せサイトに出店し、新たな販路開拓を狙う。

<抱えていたお悩み>
地域ブランド「石見鴨(いわみがも)」の販路開拓が課題

市原ファームは、中国地方最大の河川・江の川(ごうのかわ)が貫流する島根県川本町で養鴨業を営んでおり、地域の特産品であるエゴマを飼料に使った「石見鴨」の飼育と食肉加工・販売を手がけています。

2012年からエゴマを飼料とした栄養価の高い鴨肉の開発をスタートし、2017年に本格的に起業して養鴨に取り組み始めました。生産者である自分たちの手で商品の鴨肉を販売することは初めての試みであり、地域のイベントに屋台出店をしたり、営業活動をして飲食店などへ卸したりと地道に活動していましたが、当初はホームページもありませんでしたので、思うように商談が進みませんでした。そこで、2019年に石見鴨のロゴマークなどを制作し、自社ホームページとオンラインストアを開設しました。少しずつ個人消費者への直販が増え、飲食店への卸売も広がり始めていたのですが、そんなときにコロナ禍の影響で取引先が大幅に減少し、また、PRの場であったイベント出店の機会もなくなってしまいました。

何か次の手段を考えなければと、自社ブランドである石見鴨をより多くの個人消費者にPRできる大手モール型のECサイトへの出店を考えるようになりました。以前から折に触れて相談に乗ってもらっていた川本町の商工会に話したところ、IT導入補助金という制度があるというアドバイスを受け、IT導入補助金の活用を視野に入れながら、どのECサイトがより効果的にブランドの認知度向上につながるのかなど、具体的に検討し始めたのです。

<導入したITツール>
全国の消費者がターゲット!
ご当地グルメ特化型ECサイト「47CLUB」に出店

さまざまなモール型ECサイトについて調べていたところ、島根県内の商談会で出会ったのが、全国の地方新聞社厳選のお取り寄せサイト「47CLUB(よんななクラブ)」を運営する、47CLUB・IT導入支援コンソーシアムさんでした。

数あるECサイトの中で47CLUBを選んだのは、47都道府県の特産物に特化したECサイトで、石見鴨の販売にマッチしていたことはもちろんですが、ECサイトの運営ノウハウが豊富で、分からないことは直接電話相談ができるということも決め手となりました。地方新聞社と連携した広告出稿などの特典もあり、とても魅力的だと感じました。

楽天やYahoo!といった大手のモール型ECサイトは認知度が高いかもしれませんが、その分競合ショップも多く、商品がまぎれてしまいますし、価格競争をしていかなければ生き残れません。しかも、ショップ運営は自力で工夫していかなければならない。我々は生産者ですので、個人消費者向けのネット販売の第一歩を、競争の激しい大手ECサイトで踏み出すのは難しいと判断しました。

ITツールの導入にあたっては、IT導入補助金の申請からサイト上のショップページ構築まで、Zoomや電話によるリモート打ち合わせで丁寧にサポートしてもらったおかげで大変スムーズに進めることができました。

<効果>
地方新聞への広告掲載でPRの可能性を拡大。
今後、日本各地への拡販を狙う

47CLUBは個人消費者向けのECサイトであり、そのターゲットに合わせた商品企画や価格設定から、売り方のアドバイスや説明文の書き方、写真の撮り方や効果的なキャッチフレーズの入れ方にいたるまで、本当に丁寧に手取り足取りアドバイスいただきながら構築することができました。

石見鴨のショップページは2022年5月にオープンしたばかりですので、残念ながらまだ数字でお伝えできるほどの効果はありませんが、さっそく地方新聞の広告欄に商品を掲載してもらうことができ、今後の反響に期待しているところです。

また、父の日やお歳暮などのイベントに合わせた多彩なキャンペーンや、割引などの会員特典がプランの中に含まれていることも47CLUBの魅力ですね。さらには、効果的なショップ運営に関する動画勉強会など手厚いサポートもあり、ECサイト運営の専門家からノウハウを学んでいます。現在は、キャンペーンを活用して積極的にアピールしていくためにも「テーマに合わせてアイテム数を増やすことが効果的」というアドバイスを受け、お歳暮シーズンへ向けて新商品の開発を進めています。

今後は、鴨肉のおいしい食べ方や調理方法のコツなど、商品にまつわる付加情報も47CLUBのサイトや自社ホームページで発信することも考えています。川本町の商工会に紹介してもらった料理研究家や取り引きのあるレストランと一緒にレシピを考案して、さらなる情報の充実を図っていきたいですね。

そして、今回の取り組みを通して、顧客分析や商品販売分析、アクセス分析などの経験を蓄積して、最終的には自社で顧客販売データの収集や販売促進手法の確立、品質改善の促進といったマーケティング活動ができるようになることを目指しています。

<今後の展望>
島根県石見地方の特産品とのコラボ企画で、地域活性化を目指す

川本町の「ふるさと納税」の返礼品として出している鴨鍋用の鴨肉が好調で、現在新たな商品を企画しているところです。実は先日、石見地方の特産品「石州瓦(せきしゅうがわら)」をアレンジして調理器具をつくっている企業との出会いがあり、調理器具と抱き合わせたコラボ商品として鴨肉専用プレートやアヒージョ鍋を開発するプロジェクトが動き出しました。というのも、鴨肉の調理は火加減がとても難しく、熱の通し方によっては良質な肉でも硬くなってしまいます。その点、石州瓦の調理器具なら遠赤外線効果でふっくらおいしく焼き上げることができるのです。

また今後の展望としては、川本町特産品のエゴマ関連商品とのコラボ企画や、地元川本町で石見鴨を味わっていただけるような構想も練っています。


販売の柱として47CLUBの販売力をうまく活用しながら、地方の特色ある商品を発信して、地域活性化につなげていきたいですね。

<IT化を進めようとする皆さまに一言>
とにかくまずは支援機関に相談することが、スムーズな導入の鍵

今の時代、どんな業界であってもIT導入に取り組んでいかなければ出遅れてしまうのではないでしょうか。ここは一歩踏み込んでみるべき領域だと思います。

私どもの場合はIT導入補助金の申請については、全面的に47CLUBさんにサポートしてもらいました。書類の提出方法も分かりやすく書かれていましたし、丁寧に教えてもらえましたのでとてもスムーズでしたね。申請に必要な税務関連の書類などは自分たちで揃える必要がありますが、それも川本町の商工会に相談して助けてもらいました。

とにかく迷わず支援機関にどんどん相談をしてみることをおすすめします。ITに関する知識についても補助金についても、苦手意識があって一歩踏み出せないのはもったいないですよね。専門知識を持った支援機関と連携すれば、必ず目的のITツール導入を実現できると思いますので、ぜひ勇気を持ってチャレンジしてください。

企業概要

会社名 市原ファーム
URL

https://iwamigamo.com/

住所 島根県邑智郡川本町南佐木343
従業員数 7名
事業内容 石見鴨の養鴨・加工・販売 / インターネット販売

47CLUB 石見鴨ショップ
https://www.47club.jp/35M-000139wlt/
従業員数 7名